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時の言葉
Word at time

2018年11月 価値の基準

日本を含めて今や全世界は不況とインフレに悩んでいる。いかにしてこの危機から脱出するかとさまざまな研究、討論がなされているが、物に価値の基準をおくかぎり経済の歯車はあらぬ方向へと進んで行くであろう。現在の危機意識は経済を主体としたものの考え方に原因があり、小手先の改革ではその反動はいっそう大きなものとなるであろう。

いったいこうした状況をつくり出したものは何であろうか。ほかならぬエゴと欲望とその体制にある。私たちをとりまく生活環境は欲望の発展を基礎として、個人の利益追求が社会の発展につながるという思想を背景に組み立てられている。三本の柱はうまくかみ合い数量文明はたしかに開花をみせた。物が豊富に出まわり、金さえ出せばなんでも求めることができるようになったが、私たちに必要なパイ(資源)は無限ではなくて有限であり、そのパイを奪い合えば次に来るものは死しかない。

 

かくして、生産をセーブし、消費を節約せざるを得なくなった。少なくとも科学や技術が、今後形を変えて飛躍的な転換を遂げぬかぎり、私たちの未来は先が見えてきたといえる。しかし、ひと度ふくらんだ生産機構を縮小することはむずかしい。不況とインフレ、危機意識が全世界を蔽いはじめたのはこのためなのである。

私たちの住む世界を称して相対界とも言う。天と地、昼と夜、男と女、善と悪というように、すべてが相対的にできあがっている。この相対的な仕組みを一方に偏らせたならばどうなるであろうか。相対の世界は瓦解のほかはない。現在の数量文明は、心より物に、質より量にそのウエイトがかかっている。つまり、価値の尺度が物の多寡で計られているのだ。これは間違いだと思いながらも人びとの心は物に執着を寄せている。危機がくるのは当然である。

相対界の価値の基準は調和なのである。調和とは一方に偏しない生き方を指し、相対の世界を、いわば止揚しながらより高次の調和へと高めていく。現実的には愛の行為である。助け合い、補い合い、許し合える連帯の中に調和の理念が生かされてくるのだ。

物に偏して生み出されてきた現在の危機を乗り切るには、全世界が協調互恵の精神を呼び起こし、人類は皆兄弟である、という神の子の自分に還ることである。エゴと足ることを知らぬ欲望を捨てぬかぎり、危機の輪は広がってゆくであろう。

 

(一九七四年十二月記載分)

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