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今月の課題
This Month's Problem

2019年2月

本部長 岸田 守

正法は万古不変であり、いくら年月を経ようとも、いつでも新しく、私たちを導いてくれます。原点に戻って学びを深めていくために、今月は、平成九年二月号に掲載された、岸田本部長ご指導の要旨を再掲載させていただきます。

 

鉄を長く放置しておくと何時の間にか赤いさびがつく。このさびは鉄と酸素と水の化合物で、そのいずれを欠いてもさびはできないらしい。
鉄のもつエネルギーは地球表面の安定した状態のエネルギーより大きいので、その差をとるために酸素や水と結びついてさび、安定しようとする。
すなわち、鉄そのものは不安定で、たえず磨いていなければそのままの状態を保てず、色つやが保てないといいます。
鉄がいつとはなしにさびるのは、世の中の全ての形あるものが時の経過とともに絶えず変化する“諸行無常”の結果であり、さびるために水と酸素の化合がなければならないのは“諸法無我”をあらわし、鉄がさびつき朽ち果ててはじめて安定するのは“涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)”のことわりをあらわしています。
仏教では、この「諸行無常、諸法無我、涅槃寂静」を三つの神理(三法印)と云って、世の中に存在するすべての形あるものは、この法則に従っていると説き、我々が信じると信ぜざるとに関係なく、宇宙の生成発展の鉄則になっていると云われています。

 

それはともかく、
私たち人間もその例外ではなく、身心を絶えず磨いていないといつしかさびがつき、ついにはむしばまれて朽ち果て大地に還るのは鉄と同様です。絶えず努力をし続けていないと、ちょうど刈っても刈っても生えてくる夏の雑草のように身心もむしばまれて行くでしょう。
『法句経』に「さびは鉄より生ずれど、その鉄をきずつけるがごとく、不浄(けがれ)ある修行者は、己の業により悪処にみちびかれん」とあるように、努力を怠っていると自分の身から出たさびで自分自身を加速度的に滅ぼしてゆくことになりかねません。
我々の中には、いくら努力したところで、ちょうど鉄がいつしかさびて朽ち果てるように滅びてしまうのだから、努力するのはムダではないかと考える人もいよう。しかし、はたしてそうだろうか、何の目的で生まれてきたのか。
江戸時代の俳人である瓢水に「浜までは海女(あま)も蓑(みの)着るしぐれかな」という句があるが、裸同然の海女でさえも、雨に降られて濡れてもよさそうなのに、いったん陸に上がればやはり身だしなみとして蓑を着る。
芭蕉にも「やがて死ぬ気色(けしき)もみえず蝉の声」という有名な句があるが、蝉は長い幼虫生活を終えて幼虫の殻(から)を破って一人前の蝉になってから四日目に鳴き出し、一、二週間で一生を終わるという。それほどに短い生命でありながら、すぐ死ぬとも知らず精一杯の声を出して鳴いている。
どんな偉い人でも偉くない人でもこの世に生まれてきた以上は、いつかは皆死んでいかなければならない。しかし、いくら誰もが死んでいくからといって、生きている間に何もしないでいては野たれ死にするばかりである。 孔子の「朝(あした)に道を聞けば夕(ゆうべ)に死すとも可なり」で、私たちの人生には、それぞれにこの人生の生死を超えた、人生の目的と使命があるはずである。

 

私はその私たちの本年の目標として『心に法を、人々に尽くせる慈愛を、祈り心で実践し続けよう』を挙げさせていただきました。
そして、そう生きたい、実践したいと願いながらも思うようにならない現実を眺めた時に、確かに肉体煩悩やカルマが大きな壁になっている事は云うまでもありません。
しかし、肉体煩悩やカルマと云っても、なかなかつかみどころがないために、一つの手掛かりとして「自分が大切にしているものは何か」を一度振り返り点検することを、先月号で提案させて頂きました。
皆様は何を大切にされていましたか……。この事を振り返る時に、先月にも申し上げましたが、結論を急いで言葉で考えても駄目だと云うことがよくお分かりになったことだと思います。
つまり、言葉の上では「人の為に尽くせる慈愛の心を大切にしている」とか「人様のお役に立つことを大切にしている」とか「人の喜び、人の悲しみ、我が悲しみ」とか「自分のことよりも、人の喜ぶことを大切にしている」とか「自分の得になることを大切にしている」とか「人よりも自分が第一」と云うように、様々にお考えになったことだと思います。
しかし、実態としては何気ない普段の出来事の中で心が動く時、
◦自分より先を越しやがって畜生! ◦何であいつだけ誉められるんだ!
◦どうしてこの嫁は身勝手なんだろう!
◦ちょっと、姑だと思って口やかましい!
◦もっと優しく、親切にしてくれたらどうなの!
◦本当に自分勝手なんだから……!
◦本当は私が一番苦労したのに、誰も分かってくれない!
◦こら、出しゃばるな!
◦人のことを無視しやがって!
と云うような、心のつぶやきが先にあるはずです。
このつぶやきこそ、自分が何を大切にしているかを如実に現わしているように思います。ですから先ず、この心のつぶやきを発見し、根底から修正する必要があります。

 

禅には色々の作法があって、心もさることながら、先ず行ずることが大切にされます。色心不二、色即是空、空即是色と神理が示すように、肉体煩悩やカルマを発見し修正する努力と共に、思いきって行為をすることによって心を整えてゆくことも大切なことだと思います。
例えば、嫌な人、避けたいと思う人に対しては、無自覚に反射的に毛嫌いし、無視したり、遠去かろうとしてしまいます。こんな時、思い切って勇気を持ってその人に近づき、積極的に話してみることです。
年老いた人は経験も見識も豊かですし、人生の様々な苦労を知恵として持っておられます。しかしその反面、我が強くなりますし、思うように身体も動きませんし、何となく愚痴っぽいと云うイメージが一般的にはあるようです。
自分では否定したくなりますが、むしろ素直に受け入れて
◦我を張らずに、しゃべりたいけど我慢して、人の話を大きな耳でよく 聞く行
◦愚痴りたいけど、グーッと小さな口で我慢してみる行
◦恥ずかしいけど、しんどいけど、人の手伝いをしてみる。よく働く身 体の行
と云った実践の行に取り組み、違う自分を生きてみることが大切です。

 
若者にしても、自分中心の我がままな行為や甘えの強さ、責任感の無さが指摘されます。
◦失敗してでも、ハイと引き受けてみる行
◦笑われてもいいから、自分の意見を発表してみる行
◦思い切って先輩の胸を借りてぶつかってみる行
と云った、「実践の行」に各人が一度取り組み、違う自分を祈り心で生きて下さることを心より切望いたします。

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