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時の言葉
Word at time

2019年6月 労使協調

インフレと不況という相反した二重苦の中で、誰しも不安と見通し難のため戸惑っていると思う。いったいこれから先、どうなるのだろう。景気は良くなるのか悪くなるのか。悪くなったらどうしよう。良くなるとすればいつ頃良くなるのか。誰しも知りたいところであろう。しかし、いったい何がこうした事態を招いたのか。自分とは関わりのない他人が、こうした事態を持ち込んできたものなのか――。

 

経済は単独では成り立たない。経済ほど相互依存の強いものはない。インフレの悩みは何も西側だけではなく東側も同じだ。ただ、東側は国家の強力な統制下にあるので、西側から輸入したインフレを国の財政が背負っているだけである。国の財政とは国民の金である。西側はこれが個々の企業に直接響き、市場が自由なのですぐさま価格に跳ね返っているだけである。

しかし、その苦しみは独り我が国のみならずアメリカも西独も、そして東欧諸国も同じだ。アラブ諸国だけが利益を独り占めするわけにはゆかない。アラブだけが利益を得、他の世界諸国が不利益を被るという時代ではないからである。つまり、経済は単独では成り立たないし、勝者敗者が生ずる仕組みは世界が小さくなった今日では、もはや通らなくなりつつあるからである。ことに我が国の場合は、世界経済の中軸を占めており、小さな枠の中で自己保存に浸ることは許されなくなってきている。

ここで大事なことは何かといえば、労使の協調である。限られたパイを互いにより多く分捕ろうとすると争いになる。争いは破壊につながる。企業は潰れ、労働者は職場を失うことになる。我が国がこういう状態になれば世界経済にも大きく影響してゆこう。

 

個々の労使協調が世界経済にどうつながるかといえば、双方が協調し、企業が安定してくればやがて価格も安定し、需要と供給がノーマルになってくる。反対に、争いが激しくなり企業が倒産すれば、失業者が溢れ、需要は減退して輸出国の産業も衰微してこよう。したがって、まずもって労使の協調である。それには双方が裸になって、譲るべきところは譲り、話し合うことだ。

今回の危機を招いたものは何かというと、その根本は経済主体のものの考え方にある。経済は人間生活の手段であって目的ではない。我々の目的は、仕事を通してその魂をより豊かに広く磨くことであり、そうして、その心を地上に反映させることにある。すなわち、他を生かす愛の仏国土をつくることである。現在の危機は、その反作用というべきであろう。

 

(一九七五年三月掲載分)

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