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高橋信次先生講演
Lecture

中道について(4)

(前号より)

 

当時の弘法大師空海が、中国に行った模様を私は聞きました。

それによると、四隻の船を纜で繋ぎ一番先端には最澄が乗船し、藤原一族も中国大使として乗船した。そのうち筑紫から出て間もなく大風が吹き、纜が切れてしまい、四隻の船はバラバラになってしまった。最澄の方は帰ってから分かったのですが、揚子江の下流、上海という所に着き、私たちが今で言う台湾海峡からアモイの近く、フッテン省に流されましたと言う。このように当時の模様を詳しく教えてくれます。

そうすると私は、本当か嘘か今度はいろいろと調べ始めます。たまたま弘法さまの所ですから、彼等の金剛峯寺へ行って伝記物の本を借りてくると大分嘘がある。第一船団に空海が乗船と書いてある。それならと比叡山延暦寺を調べると、第一船団には最澄だと書いてある。

その当時、最澄は三十七才だと言っております。

 

このように歴史はいろいろと坊主たちが自分の都合のいいように作成したのです。弘法大師が本当に神理を悟って中国から帰ってきたとしたら、恐らく先ほどの密教なんてものは作らなかったでしょう。

さらにまた山を探し求めた時に、二匹の白黒の犬が出てきて先導し、現在の高野山に自分の修行所を求めたと書いてあります。その時に猟師を地の神と祀ったことも、これはすでに弘法は悟っていない証拠です。しかし弘法自身、高野山にいて修行をし、心の窓は開かれていたと自身は言いました。

弘法自身一生女性関係はなかったのですか?と聞きましたら、私もしょせんは男性でございます云々……。

いつの間にか年代が過ぎると、雲の上の天上人に周囲が神格化してしまう。

奥の院には弘法様の骨を祀ってあるとか、その奥の院へ入って行くと、私の目の前に真っ黒い玉がグルグルと飛んでるのが見えます。四、五人のお坊さんがおりましたけれど気がつかない。弘法様に後で「奥の院では貴方様のお骨を拝ましてるようだが、一体これはどういうことですか」と聞くと、「自分の亡き後の骨を拝めとは一言も言っておりません」という返事が返ってくる。

 

人間はそのような物に執着を持たしてしまっている。末法ともなればこのようになるものですと、こちらは歴史上の事実を追求しますから、歴史と現実がどのように間違っているかわかってしまうわけです。

人間は尊敬のあまり自分の宗祖をどうしても大事にしたいものです。正しく物を見ていない証拠なのです。しかし、高野山が当時の権力と結びついて仏教を中心に弘法様の名前が世の中に広まっていきました。

修行の過程で霊視が利きますから、病気がわかります。その病気を癒している間に、当時ライ病が流行したそうです。その結果、自分もライ病になり、手が全部潰れたとも言われる。だから、四十代からほとんどお堂に籠って外出しなかったと言っておりました。

それで、本当に私の前に出てきたのは弘法であるかないか、テストをしなければなりません。顔形を見て弘法さんとわかっても、人は信じません。

 

たまたま高野山で寺院を持ち、当時の衆務総長K氏が三年前に死去しました。その方の奥様が私の講演を聞きに参り、面接致しました。見たところご主人が横に来ております。背は1メートル74~75センチくらいで、丸々と太った一見浅黒いお坊様。私は奥様にこのことをお話ししますと、「私の主人です」と言う。

その時K氏は、私は精神的に非常に宗派の見苦しい環境の中で苦しみました。私は心筋梗塞で一夜の内にあの世に帰りました。今は執着がありませんが、ただ自分の妻を顧みるいとまがなかった……、万が一私が死んだ後、お坊様たちの宿泊所でもいい、良い環境を作ろうという約束をしたが、それを果たすことなくお前に苦労をかけて申し訳ないと言う。お前にはいろいろ苦労ばかりかけて、多くのお客様を接待するだけで青春も老後の幸福も与えなかった、本当に申し訳ない。お前にはみえないだろうが、いつでも側にいて協力するから恨まんでほしい。気の強い女であったが、もう少し体の方にも気をつけて、医者に診てもらってほしい云々……。

 

ところが、偶然にもそのK氏は衆務総長時代に私の『縁生の舟』(現在は心の発見)を読んでいたそうです。不思議なことです。先生の御本を読ませていただきました。先生はそういうことから通してご存知でございましょう。高野山内部のことも……、妻にもいろいろとご教導ください。また、夫婦二人だけの話も喋ってしまったのです。

さあ奥様は信じざるを得ません。全部ですから、これで初めてああそうかと、やはり前へ出てきたのも弘法大師に間違いないと私は信じました。

 

(次号へつづく)

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