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今月の課題
This Month's Problem

2017年05月

本部長 岸田 守

正法は万古不変であり、いくら年月を経ようとも、いつでも新しく、私たちを導いてくれます。原点に戻って学びを深めていくために、今月は、平成七年五月号に掲載された、岸田本部長ご指導の要旨を再掲載させていただきます。 仏教の、「群盲、象を評する」という説話があります。 一頭の象をかこんだ十人ほどの盲人(視力障害者)が、それぞれに象の鼻や胴体や足や尻尾(しっぽ)をなでまわしている解説図を、どこかでご覧になった方もあるかと思いますが、これらの盲人がそれぞれに、各人の受けた感触(かんしょく)から、象とは「大きな壁」のようなものだとか、「大木」のようなものだとか、「長い縄」のようなものだと、自分の見方を正しいとし思い込みを主張して、他人の言うことを聞かない偏狭な見方、考え方に対する説話です。 勿論、これは昔の譬話(たとえばなし)で、現在のような情報化時代に、たとえ生来の視力障害者であってもこんなことはないでしょうが、高橋信次先生が口癖のようにおっしゃっていたように、私たちは「盲目の一〇パーセント」の意識で修行しているのですから、これに似たような「思い込み」や「早とちり」や「錯覚」などがあっても不思議ではないでしょう。 高橋信次先生のご著書『人間・釈迦』の第一部の一三、出家と反省に、 ……ゴーダマは、過ぎし日をふり返ってみると、自分が歩いてきたその想念と行為は、自己保存のエゴしか見当たらないことを知ったのであった。そうして、心の遍歴について中道という仏性(正法)の照明を当てていくと、至るところ黒雲が渦を巻き、正法に適う行為の少なさに唖然(あぜん)となったのであった。父や義母に対する態度、部下との競争意識、動物愛護にしても、そのほとんどが独りよがりであったり、自己主張の表れであった。 これまで六年間の山中での修行にしても、一日も早く悟りたいという自己の欲望が先に立ち、外見にとらわれたみせかけの修行であった。悟りへの重要な過程は、心の内面に対する反省であり、正法という大自然の摂理に照らしてみても、ものの見方・考え方・とらえ方、そしてそれにもとずく行動が、果たして正しいものであるかどうかを、反省することがキメ手になるのであった。……と説かれています。 そして、一六、偉大なる悟りには ……遂いに、悟りをひらいた。 三十六年間につくり出した不調和の暗い心、想念の曇りが、この瞬間において、光明と化したのであった。…… という記述があるでしょう。 このように、お釈迦様でも、宇宙即我の悟りをひらかれる瞬間まで、不調和の暗い心、想念の曇りが沢山あったのだし、その数カ月、数十日前の反省でも、自分が歩いてきた想念と行為は、自己保存のエゴしか見当たらないことを知った。というんですから、私たち凡夫、凡婦の意識・魂では、その想念と行為がそんなに美しいはずはないのです。 それを、生じっかな反省で、私は正しい、そんなに間違ってはいないというのは、己を知らないにもほどがある。それこそ仏教の説話の「群盲の象」と云われて当然ではないでしょうか。 いずれにしても、私たちは誰もが沢山のカルマを持っています。多くの欠点・盲点を持っています。その欠点・カルマがいくらあっても決して恥ではありません。自分の欠点・カルマの自覚ができただけでも、その欠点・カルマが自他を毒することは少なくなるはずです。エゴの己を反省し自覚すれば、そのエゴが業(わざ)をすることが少しでも少くなることは確かでしょう。 たとえ次元が高かろうと低かろうとそれは一緒です。私たちの誰もがそうである神の子の魂は、そういう大自然の法則、摂理の中にあるのですから  。 本年を通してのテーマである「正しく見、正しく思い、正しく語る」は、今さら申し上げるまでもないことですが、これらの「正しく」には、このような前提が要ります。昔も今も、男も女も、老いも若きも誰もがそうだその通りだと認める「正しさ」です。いわゆる、中道の正しさです。 といっても、私たちはそれぞれのクセ根性がありますから、仏教では正見と書いて「さとり」と読むほど、一切の諸現象を本当に正しく見ることは難しいことです。 しかし、だからこそ「正しく見る……」修行が大事なのだし、努力のし甲斐もその喜びもあるわけです。だから絶対に正しくなければダメだとは先生も云ってはおられません。一〇パーセントの人間だから間違っても不思議ではないのです。その人間が少しでも正しく見、正しく思い、正しく語ることに意(こころ)をそそぐところに魂浄化への意義があるのです。 伝教大師最澄のことばにも、「国宝とは何物ぞ。宝とは道心なり。道心有るの人を名づけて国宝となす。」また、「能(よ)く行い、能く云うは国の宝なり。」という偈(げ)がありますように、道心というやる気と実践が正法の両輪です。 お陰で近頃はようやく正しく見、正しく思い、正しく語るように努力する風潮が見えてきました。この機に皆様の一段のご精進を祈って、今月の課題にかえさせて頂きます。

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