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高橋信次先生講演
Lecture

心行の言魂(36)

一九七五年九月 著

(前号より) 原因がわかり、その原因にほんろうされていたことに気付きますと、その原因によって影響を与えてきた人びと、そうしてまた、神に対して詫びなければいられない気持ちになるものです。 悔い改めの心こそ、業を超えて行く足場になるからです。 もし、本当に悪かった、あるいは感謝と報恩の気持ちが湧いてこないとすれば、その人の反省は、まだまだ本物とはいえないでしょう。 己の欠点、短所、業というものは、自分を傷つけ、人をも傷つけてきているからです。 私には反省する材料がないという人によく出会いますが、こういう人は反省が浅く、反省とはどういうものか、まだ、わかっていない人だといえます。 恵まれている人にかぎって、反省する材料がないというようですが、ではその恵まれた環境はどのようにして、つくられたか。夫か、両親によってか、夫は社会に出て、どう働いているのか、両親はどうして財を為したか……。 このように考えてくると、今の自分の環境をただ盲目的に是認し、その中に安住している自分を発見するはずです。恵まれぬ人びとを考えた場合、現在の自分の立場に疑問が湧いてくるはずです。このように反省の材料は山ほどあるものです。 反省の仕方としては、各人が工夫してやってもらってよいのです。 が、一つの方法として、まず、現在の欠点、短所をノートに書き記し、その一つ一つについて、年代を追って、原因をつきとめます。 もう一つのやり方は、両親と自分、夫と自分、子供と自分、兄弟姉妹と自分、友人と自分、上役と自分、先輩と自分、得意先の人びとと自分、隣人と自分、というように、他と自分とを対比させ、これまで生きて来たさまざまな状況の中で、自分の心がどのように動き、どのような態度ですごしてきたか。 これらを前と同じように年代別に追って行く方法です。 ものを対比しながら反省をしますと、比較的自分本位の傾向から離れ、客観的に真実をとらえることができます。 長い人生航路の間では、人は、一度や二度、自分を反省する機会を持つものですが、大抵は自分本位の想いに流され、自分をかばってしまうようです。 これでは中道の反省とはいえません。中道の反省は、自分の在りのままの姿、内在する正直な心に照らして、両親に対して自分はどう対処してきたか、両親の献身に対して、自分はどれほど孝養したか、と疑問、追究して行くものです。 両親と自分というテーマの中から、両親を困らせた、両親を悲しませた、自分の我儘(わがまま)が、いつ、どのような場合に、どう現われて来ていたか。 また、ものに感謝する、しないということも両親との関係において理解されてくるでしょうし、また、子供の頃の生活態度が、現在の性格を形作っていることも明らかになって来ます。 こうして、自分の欠点はすべて自己保存という自我の想念がつくり出しており、この想念に自分が支配されているかぎりは、正見、正思、正語といった正しい生活、調和された生活は期待できないわけです。 不幸の一〇〇パーセントは自分の想念の在り方にありますから、幸福を望むなら、中道の生活に軌道修正する必要があるわけです。 私たちの心の姿は、このような状況の中で、次第に形作られ、本来あるところの黄金色に輝く、丸い、豊かな、大きな心が、変にゆがんでいたり、あるいはハート形になり、あるいは感情や本能、知性、理性、意志のどちらかがアンバランスとなり、片寄っているからです。 各人の心は、図にある通り、想念を中心として、左右に本能、感情があり、上の方に知性があり、下に理性が、そうして、その下に意志が活動しています。 正常な心では、これらが平均して、丸く豊かに活動しているのですが、前述のように反省をしていますと、すぐカッとなる、嫉妬心が強い、そねみやうらみの念が湧いてしまう、という場合は、知性や理性の働きが弱く、感情だけが異常にふくらみ、心全体が丸くない証拠です。 感情のみに自分が支配されるということは、自分の都合でそうなるのですから、知性や理性を働かせて、常に自分を冷静な心に置き、事態をよく見きわめるようにつとめることです。 ここで心の機能の説明を簡単にしておきます。 本能=食・性の二大本能は本来、生理的なものです。私たちは生まれ落ちると同時に母親の乳房を求め、親が教えないのに、お乳を飲みます。 性的本能についても、一定の年頃を迎えると異性を求め、性本能が活動を始めます。 また、夜になると眠くなるというのも生理的欲求の現われです。 こうした生理的欲求をそのままに放置しておくと、人間の場合は本来の軌道を外し、あらぬ方に突っ走ります。 ただ、人間の心は本能の外に、感情、知性、理性、意志という機能が備わっていますから、自制心の強い人は、そうそう無軌道には流れてゆかないわけです。 動物の場合は、知性や理性は働きませんが、運動、休息、そしてその生活は自然環境の支配下におかれていますので、生理的要求を発展させる条件は人間とは比較にはなりません。つまり、自然のコントロールをうけています。 (次号へ続く)

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