閉じる
高橋信次先生講演
Lecture

心行の言魂(37)

一九七五年九月 著

(前号より) 人間は、気象に寒暖があればそれに対処するよう生活設計を考え、また、食糧を貯蔵したり、川に橋をかけたり、海に船を浮べ、どんな遠方にも自由に行き来できますからそのコントロールは自分がしなければなりません。 こうした状況下にあるため、本能の欲求は各方面に発展することになります。つまり、生理的要求を第一次本能とすれば、それにもとづく欲望は第二次本能となって働いてきます。 闘争、群居、好奇、逃避、拒否、誇示、服従など、こういった行為は、明らかに生理的本能を発展させた第二次本能的欲望といえるでしょう。 本能の働きは極めて、現実的、この世的であり、また、排他的傾向を帯びています。 個人間の争いや集団での戦争の原因を追求すると、個人の本能的エゴ、集団のエゴが発端になっています。 戦争が終り平和が到来すると、性の乱れが世上を覆うようになります。そうして、男女間のさまざまな葛藤(かっとう)が続出します。 地位、名誉、金、虚栄、虚偽、偽善といった欲望は、闘争、群居、逃避、誇示、などの第二次本能の変化とみるべきでしょう。第二次本能は第一次の食と性の生理的本能に根ざしており、ことに性本能は、昔から英雄色を好むというように、それがさまざまな欲望を発展させていることに気付きます。 ですから、こうした欲望に執着があるとすれば、心の安定は期し得ないし、中道による丸い心はいつまでたっても達成されません。 真に安心を求め、不動の境地を願うとすれば、まず、本能の本来の在り方に目を向け、他の心の機能と同じように丸く豊かな、ふくらみのあるそれにしなければなりません。 本能による欲望は、もともと生理的なものであるだけに、放っておけば気付かぬ間に発展しますから、知性や理性、意志を通して、コントロールしなければならないでしょう。 また、現在の本能的欲望は過去世のカルマに非常に影響を受けます。したがって、現在のカルマは過去世の延長とみても差支えありません。 したがって、これをコントロールするには、強い勇気と努力が必要となります。 本能の本来の姿は、図にもあるように、潜在意識の中にあって、その目的は地上の仏国土を達成するための地上の建設、相互の調和にあります。 人間がこの地上に肉体を持って生まれてきた目的は、この肉体を基盤とした地上の調和にあるわけですから、本能を無視すれば、その基盤を無視し、仏国土の目的さえ否定することになります。 また、もし食・性の本能がなければ、肉体維持も、子孫を残すこともなく、人類は早晩に滅亡せざるを得ません。 したがって、足ることを知った生活、それは知性、理性の働きによって、本能をコントロールし、本能本来の調和、建設の姿を顕現(けんげん)させてゆかなければならないわけです。本能は仏国土顕現の原動力です。 その原動力を正しく生かすことによって、本能の機能は丸く豊かに発光し、家庭や社会の調和に役立ってゆくわけです。 感情=本能と同じように、私たちの感情の働きは幼児の頃から芽生え、行動の原型を成しています。 好き嫌いの感情、愛の感情は理屈を越えて行動に走らせます。 もともと感情は熱しやすくさめやすい性質を持っていますから、感情の機能が好き嫌いでふくらんでゆきますと、一時は直進しても長続きはしません。 しかし、好意を持つ、好意が持てないことによって、人と人とのつながりが生まれたり、離れたりして、私たちの行動を決めています。どんなに理屈をならべ、自分にとって利益になると考えても、感情が肯定しないと、人はなかなか行動に移れないものです。 それほど感情というものは、本能と同じように重要な地位を占めています。 また、感情のない人間というものは考えられませんし、感情は人間の行動にとってマイナス面が非常に大きい反面、この機能を小さくさせ、時には殺してしまうようでは、それこそ、心のない人間、ロボット人間になってしまうでしょう。 最近の若い男性の中には感情があるのか、ないのかわからない人が多い。これは小さいときから勉強を強いられ、豊かな感情を育てる機会、たとえば友人と遊ぶ、楽しむ、競技するということが少ないために、感情を働かせる機会を故意に押さえられてしまったからでしょう。 豊かな情操は、友人と遊び、動物と親しみ、家庭内での対話から養われてくるでしょう。 (次号に続く)

高橋信次先生ご講演DVD 注文書

高橋信次先生のご講演DVDを販売いたしております。
「詳細はこちら」のボタンよりPDFを開いて頂き、
必要事項を記入の上FAXにて送信下さい。

高橋信次先生ご講演CD 注文書

高橋信次先生を関西本部に御招待した1971年10月の初回講演からの関西本部でのご講演をCD集として今後まとめてまいります。
「詳細はこちら」のボタンよりPDFを開いて頂き、必要事項を記入の上FAXにて送信下さい。