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高橋信次先生講演
Lecture

心行の言魂(38)

一九七五年九月 著

(前号より) いずれにしても、感情の機能はプラス、マイナス両面を持って機能化されていますが、その感情を生活の規準にして行動していると、苦しみ多い人生を送ることになります。 怒り、憎しみ、そねみ、嫉妬、中傷、そうして争い、といったマイナス面を助長させることになるでしょう。 感情がふくらみ、喜怒哀楽のみに心がゆれてきますと、ものの正しい判断ができなくなります。あとで深い悔恨(かいこん)だけが残ります。 そうならないために、そして、心を豊かに、感情の独走をさけるために、知性、理性の助けを借りるようにしたいものです。そうすることによって、私たちは、感情の機能を正しく働かせ、怒りや憎しみなどの喜怒哀楽にほんろうされることが少なくなります。 それには、怒りや憎しみ、愚痴の感情はどこからくるか、という八正道に沿った反省をしてゆくことです。 反省をした結果、これまでの日常生活が常に感情に流されていたとすれば、感情の部分は異常にふくらんでおり、反対に、知性が強く、冷たい人間であるとすれば、感情の部分は水のない田畑に似て、ひび割れしてくるでしょう。 感情の潜在意識層は、他を生かし、助け合って行く愛の波動で埋まっているのです。 その愛の波動は、感情を機能化している原動力であり、これを正しく働かせることが正法にそう人間像であるといえるでしょう。 知性=この働きは、事物を追求し、真実をつきとめる役割を持っています。 人間が他の動物とちがう点は、この知性が飛び抜けた働きを持っているからです。 知性を養うにはさまざまな方法がありますが、要は、ものごとをうのみにせず、疑問と解答の柔軟な思索をすることです。知性の尺度は常に客観性にあります。物事を客観的に見る、そうすることによって、事物の真実をつきとめることができます。 知性のマイナス面としては、これだけが単独に働き、感情や理性、本能が無視されてきますと、非常に冷たい人間になって行くことです。人に対する思いやり、計算を外した行為というものができにくくなるからです。 知性は合理性を求め、科学社会を発展させてきましたが、その結果は、さまざまな非合理を生み出しております。 つまり、人間社会を豊かにする科学技術は、かえって、人類を滅亡させる方向に進んでいます。公害やさまざまな殺人兵器などはその最たるものといえるでしょう。 知性は事物の真実を求める働きをしていますが、これが単独に働くときは、どうしても近視眼的となり、全体的に眼が届かないという弊害がついてまわります。物事を客観的にとらえる働きがあるなら、そんなはずはないと思うでしょうが、本来、知性そのものは、科学的であり、物を分析追求するものであるだけに、事物を生態的にとらえることは不得手なのです。物事の細かい研究には知性は素晴らしい能力を発揮しますが、政治とか、行政といった全体的な問題になりますと、その能力は半減してしまうのです。 このことを現実社会に当てはめると、研究者とか科学者に政治や行政や経営をまかせると失敗するでしょう。今日、地方財政は危機にひんしていますが、赤字財政の公共団体の長は、大抵、学者出身の人が担当しています。もちろん、学者にも政治的能力のある人もいるし、政治家といわれる人の中にも研究者のような知性の持ち主もいます。 何れにせよ、知性の働きは事物の真実を追求する性能にありますが、これを単独で働かせるだけで、心を豊かにするということにはならないのです。 知が立てば角がたつといわれるように、心の各機能を働かせながら知性を磨いてゆくようにしなければならないわけです。 正法は学問ではありません。物事の真実を知ることが大事だからといって、学者や研究者がするような正法の研究者になっては、豊かな人間性は育ちません。 仏教やキリスト教が哲学化され、学問に姿を変えていったのも、知が先行していったからです。 潜在意識の知性は、智慧なのです。 智慧はなんでも応用がきき、これはわかるが、これはわからない、というものではありません。 智慧を引き出すにはどうすればよいか。 それは、これまでくりかえしてきたように、心の各機能を通して、反省と実践によって、生まれてきます。実践というと単に体を動かすことを連想しますが、物事の真実を知るためには、まず考える、人の話をきく、知識を貯えることも、実践の一つです。 こうして、知性の裏側にある智慧が湧き出るようになりますと、物事に迷ったり、あせったり、失望したりすることはなくなってきます。 智慧は、心の各機能の働きにもとづいて現れるものですからそれはまた、豊かな人間性、安らぎある心の現われとして表出されるものです。 (次号に続く)

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