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時の言葉
Word at time

2023年12月 組織と個人

組織の中でも会社組織は今日もっとも強力、かつ巨大なものの一つである。大部分の人たちはどこかの会社に所属し、そこで仕事をする。その会社の盛衰はそのまま家庭生活の盛衰につながってくる。したがって、会社の利益は個人の利益につながり、会社の目的は個人の目的につながるのは当然であろう。
ここであげる問題点は、会社の目的が正法にそぐわない、つまり、中道に沿わないために、働く者の悩みをどう解決するかということである。具体的に言うと、会社の経営者は自己中心、利益中心であるのに対して、そうした会社で働く者が正法を信じ、正法を仕事の上に活かしたいと思っても活かせないという悩みである。

 

つい1、2年前の経済界にあっては、こうした悩みが非常に多かったと思う。ところが石油ショックを境にして、自己中心的な会社経営にさまざまな問題が浮彫りにされ、利益のためには手段を選ばぬという経営は次第に行き詰まってきたようである。産業中心の政治目標にしても、今や大きな曲がり角に立っている。
個人の目的と会社の目的とが必ずしも一致しないことは、今日のような自由社会にあっては当然起こってこようが、しかし、作用・反作用の法則というものは、前述のようにどんな場合でも働いてくるものなので、目的が異なるからといって仕事そのものを加減してはならないだろう。会社は利益を目的として動いており、会社で働く者はその環境に感謝し、報恩の行為が必要であろう。
また、労使の感情を除き、対話をもととした調和された環境をつくっていくことに意を尽くすことも当然である。問題は、その利益をどう処理してゆくかが、その会社の経営者なり、従業員の考え方にかかってくる。
つまり、正法に適っているかどうかである。

 

個人の悩みは、たいてい肉体的不調和と生活苦、環境に対する不満、責任の転嫁、逃避などが多い。会社と個人の目的はしばしば一致しないことが起こってこようが、しかし、だからといってその組織を離れては家庭を破壊し、自分を失うことにもなってこよう。組織は地上生活にとって欠くことのできないものであり、組織は肉体と見ればよいのである。肉体を否定すれば人間を否定することにもなるので、要は、これに振り回されず、そうした環境の中で己の魂をどれほど磨いてゆくかが修行の大きな目的である。自分が変わると周囲が変わってくるものであり、環境が変わる必要が起これば変わらざるを得なくなるものである。どんな場合にも、まず自分をつくることに意を尽くすことが正法の要と言えよう。

 

(一九七五年五月掲載分)

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