神理正法について（9）

（前号より）

 

その子どもたちに、肉体こそ与えたけれども魂まで与えたことはない事実を、皆さんは知らなければなりません。親の言うことを聞かずに、人を普通に殺したり、よその国へ行って殴り込んでみたり、こういう不調和なことを起こすような子どもに育てたのも、日本の政治も悪いのかも知れないが、親も悪いし子どもも悪いのです。
それは、お互いに偉大なる人生に対するところの、生まれてきた目的と使命という偉大なる魂の、この中心の心の普遍的なものを解らなかったために、正しいというその基準をはっきりと断定することが出来なくなってしまったのです。

 

私が今、皆さんに説いているのは、この分野なのです。最もこれが重要なのです。それは神様に祈る前に自分自身というものをしっかりと築き上げることです。心の曇りが無くなっていけば、太陽の熱・光のエネルギーのように、全てに神の愛は与えられているのです。受け取らないのは人間です。思うことと行うことが中道でない、神理に適ってない極端な一点が苦しみをつくっているのです。
そのために、正しく中道の道を実践した時こそ、神の光は我々の心に入りますから、調和されて安らぎになってくるのです。仕事でも何でもそうなのです。

 

しかし、人間はつい自分の都合の悪いことを言われますと、相手をなじるようになってしまいます。それには、自分自身が勇気を持って、たとえ自分の不調和なことを言われても、自分が心の中にしっかりした正しい中道というフィルターにかけて、まず相手から聞いたことをしっかりと正しいフィルターであるその心の中を通して判断をして、初めてしゃべったり思ったりしたのなら、我々の魂はより進化し、神の子である調和された自分を発見することが出来るのです。
人間は本来、誰しもがテープレコーダーや或いは偉大なるあの世と通じるところのラジオやテレビを皆様は全部持っているのです。それは、我々人間の作り出したテレビやテープレコーダーやラジオよりはるかに高性能なものを皆さんは自分の心の中に持っているのです。その物を聞き出すことが出来るのは、他人ではなく皆さん自分自身なのです。
その自分自身の普遍的な、偉大なるあの世と自由に通じるところの力を持つには、あくまでも正道を通した生活以外にないのです。

今までの多くの人々は、その道に到達しようとして山中に入って厳しい肉体行をやっております。インドの当時におけるところのゴーダマシッタルダーは、29才から36才まで、あのマガダ国を中心として山中で厳しい肉体行を続けました。食事もろくに摂らずに禅定をし、悟りを得ようと努力を続けたが、悟り得ることなくこのまま肉体行をしていったら肉体が衰えてしまってダメになってしまう。肉体がダメになって心の悟りがあるのだろうかと気が付くまで6年かかったのです。
修行という行はあくまでも肉体行ではなく、正しく八正道の心を己の心として生活をし、一秒一秒の思うことと行うことを正しく自分の心のフィルターにかけて、八正道という不純物を通さないフィルターにかけて生活をした時に、悟りの境地、皆さんがこのような次元を超えた世界ともよく話が出来るようになっていくのです。我々はこの地上界が修行の場で、そして皆さんはより豊かな広く丸い大きな心をつくることなのです。

 

皆さんの多くは、この地上界に出てくる前は、今度こそもっと大きく豊かな心をつくり、そして学ばなかった新しい自分自身の領域を学んできます。皆さん、みんなそう言って出てきたのです。しかし、私たちは　生まれたその環境の習慣や親の教育や思想や、国のあらゆる環境によって、それぞれ人々は自分の心を、ある者は歪にし、生まれてきた時よりかもっと小さな心にして人生を終える人たちが非常に多いのです。このような世の中はすでに神理正法というものが末法となって、人間の心をも救うことが出来なくなったからです。
今、我々は目覚めなくてはいけません。豊かな心をつくるために、一秒一秒の心と行いをよりリラックスした環境の中で、自分を広く大きくつくり上げていくことが大事なのです。そして、皆さん自身の心は今、皆さんの思っていることと為していることの集約された姿が、過去・現在、何億万年も輪廻転生してきたところの己自身だということを知ることです。そうして、自分をよく振り返って、より前進させるための努力は、正しい中道を通した神理正法以外にないということを、皆様は自分の心に銘記することが大事でしょう。

 

（おわり）

 

この稿は、昭和47年6月11日、関西本部定例講演会での内容をテープより書き起こしたものです。〈文責＝編集部〉

 

 

※次号十月号からは「現代宗教に対する疑問」を掲載させていただきます。