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高橋信次先生講演
Lecture

現代宗教に対する疑問(4)

(前号より)

 

私たちの本能もまた同じ。きれいな女性を見ると男性はつい心を動かされて、この動かされているうち、美しいなあと思っているうちはよいけれども、その先まで考えてしまう。そうするとどのようになるか。理性というものは引っ込んで参ります。いわゆるハート形になります。感情が出てきて理性は引っ込み知性はあまり関係ない。恐らく皆さまは、若い頃、若い人たちもそうですが、恋愛をする、一目ぼれも同じですが、そういたしますとこれをよく見て下さい。(図示される)ハートになります。本能がふくらんで感情が出て理性と知性が引っ込んでしまう。こういう時に、ものの判断が正しくできるでしょうか。自分の好きな相手を見てアバタもエクボに見えてしまう。まず見えるのが当然です。私たちはこういう心のあり方を五官を通して見たものに影響されて、こうもしよう、ああもしようということが行為になってくることを知るべきです。

 

皆さま自身の心が、いつも丸い大きい心であるということはそれがそのまま悟りを意味し、インドの時代にはこのような問題に対して苦集滅道(くじゅうめつどう)ということを説きました。私はこの地上界に出て、四十年にもなりますけれども、仏教とかキリスト教とかは全く学んでいません。専門は電気とか物理工学です。現在これを主体として生活していますからプロとして詳しいです。しかし仏教のことなどは全く私は学んではいません。それなのに読まなくてもなぜ解るかということです。それはテープ・レコーダーやビデオ・コーダーは誰が発明したのでしょうか。人間なのです。人間の中や自然の中に、こうしたものがあるから発明として出てくるのです。発明はすべて疑問の中から生まれてくるものです。

 

ですからまず皆さまも人生に対して解らない疑問をそのままにしておかないで、皆さま自身で解明することです。解らない疑問は人に聞いて解答を得ていった時にはこれまた必然的に神理に到達するのです。皆さまもよくご存知の木村名人という方がいます。この方は将棋というものを通じてなかなかよいことを言っております。また作家の山岡荘八先生などもやはりその神理を生かしています。この方たちのように名人クラスになると究極の場は神理であります。芸術家が芸術を通じ、文学者は文学を通じ、事業家は事業を通じて真剣に正しい心の状態で毎日の生活をしている人たちこそ、本当に信心深い人ということになります。このように地球上は次元の異なった世界から投影されている現象界であり立体画像の世界であるということが解ったならば、この大自然こそ大神殿だということがお判りになるでしょう。

 

地球そのものは大宇宙大神体の中の一つの小さな細胞にしかすぎないということを皆さまは知らなくてはなりません。その細胞を私たち人間同士が神の子として万物の霊長としてお互いに心と心の調和を自分自身がはかりながら平和な社会を作るということです。ところが人間は肉体をもってしまうと、肉体先祖とか、肉体が絶対だと考え、すべてに執着をもってしまって神の子、仏の子としての本性を忘れてしまいます。ここに問題があるのです。

 

皆さまは本当に心の窓を開いて一切の執着から離れて人々のためにつくす。自分も神の子、仏の子としてその道を実践しようと心と行いが調和された時に、人間が誰も心の窓が開かれるのです。なぜならば想念の中の曇りがなくなるからです。からりと晴れた青空には太陽の光が万生万物にすべて平等に当たるように、神もまた私たちに慈悲と愛の光を平等に与えています。

 

それは自分自身の心にひっかかりがなく、執着がない、恨み、妬み、謗り、怒りがない、いくら口先でうまいことを言ったところで、あるいは顔と姿と態度だけで外面だけをあたかも調和したごとくしたところでそんなものは何の役にも立ちません。上辺はどうであれ、心の中から発するところの慈悲と愛がなければ私たちの魂を高い境地に進化させることはできないのです。

 

(次号に続く)

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