(前号より)
さて私たちは先ずここで、肉体というものの先祖、肉体先祖というもの、さらにまた魂の先祖というもの、この二つのものが存在しているということに気がつかなければいけません。これはインドの時代、ゴーダマ・シッタルダーが42才の時にたまたまコーサラ国の使いがジェター・ヴェナー祇園精舎に参ります。マハー・コーサラ王の息子であるカツラピンという王子です。
これはゴーダマ・シッタルダーとは年はそんなにちがいません。こういう関係ですからカツラピンは「ゴーダマ、あなたは自分の家からたびたび使いの者が来ているのだし、家を出てからすでに12年、父親も年をとっていることだからあなたは帰って親孝行をしてやって下さい。」ということで悟った後初めてカピラに帰った時に、お父さんやお母さん、あるいは第一夫人のヤショダラとかあるいはまたその他ゴーパとか、二号、三号というとおかしいけれど第三夫人、第四夫人までいます。
一同が迎えに参ります。その時にシュット・ダーナー王が「お前どうだ。これだけの修行をしてきたけれどもお前の姿を見ると乞食同然だ。お前も王子ではないか。そんな汚いしたくをしなくともわしがさっそく良い着替えをあげよう」といいますが、ゴータマ・シッタルダーは断ります。なぜならば人間は心が大事だからです。
いくら立派な着物を着ていたところで心が屑ならば何にもなりません。そういうことから「お父さん、それはちがう。私はこのように泥だらけであっても心に安らぎと調和をもっています。生まれによってその人間の価値が決まるものではありません。だから私は一生懸命に先祖を供養します」といいました。
ところが父親のシュット・ダーナー王は「その通りだ。我が家はこのカピラに来るまでに十五代も続いている。この十五代の先祖は偉大なる人たちだ。シャキャというのはよくできた偉大なという意味だよ。」このようにゴーダマに説明します。
これに対してシッタルダーは「ところがお父さん、それはちがいます。私の供養するのは私の魂の先祖に対して供養するのです。お父さんからはこのように肉体を頂いたが、このことに対しては私は心から感謝し親孝行をいたします。
ですが魂の先祖こそ永久に変わらないところの自分自身だということを知っているのです」と答えたのであります。シュット・ダーナー王は、「そんな先祖があるのかなあー」ということでした。
現在の人々も同じです。魂はお父さん、お母さんがくれたんだ。くれたはずなのに親不孝したり、ゲバ棒をもって火炎瓶を投げてみたり、どこに肉体先祖と魂の先祖というものがあるのだと思うでしょう。しかし親子の縁は、かつて友だち同志であったり、あるいはかつて両親になった人たちをたのむのであります。このようにして私たちがあらゆる転生輪廻の中で生命は不変であるという事実は、あらゆる国を転生輪廻して参りましてこのように永遠の旅をつづけているのであります。あの世に帰りますと10パーセント表面意識が逆転しまして90パーセント潜在意識が表面に出て参ります。それですから心でお互いに話し合うことができます。
私は何回もあの世という実在界へ行きまして皆さんとも話をしております。この時に私は日本人ですから日本語で喋りますと向こうの光の天使たちは胸のところにバッチをつけております。といって日本人ばかりはいません。オリンピックと同じです。皆さんは全部兄弟だということです。そして日本語で喋った言葉はそくざに彼らの国の言葉で伝わります。あるいは黙っていてもかまわないのです。通じるのです。心で思えばよいのです。相手に通じます。
このようにあの世の世界、天上界は人類の神の子としての自覚をもった調和された世界です。そのためにあの世の肉体は光子体といって光で出来ております。皆さま自身の肉体は約32種類からなるところの原子細胞によって、また約60兆からなる細胞集団によって形成されています。さらにまた皆さまの頭脳は約200億からなる細胞集団によって脳葉というものが構成されています。その中の神経繊維は電気的振動を起こします。これを脳波といっています。
ところが皆さま自身が、肉体と魂とは別だということにもし皆さまが反発するならば皆さまが眠っている時、脳細胞はどうしているのでしょう。耳の穴も鼻の穴もあいてはおりますが、眠った時に脳というこの機関が全て記憶し思い出す能力をもっていますか――、聞くことも匂いを嗅ぐこともできないはずです。なぜ出来ないかというと肉体から魂が離れており、脳の機能が失われているからなのです。この事実からみても魂の先祖と肉体の先祖は別であり、肉体は人生の乗り舟だということを自覚せざるを得ないはずです。
(次号に続く)