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高橋信次先生講演
Lecture

現代宗教に対する疑問(6)

(前号より)

 

肉体というものは万生万物すべて縁というものによって結ばれて出てきます。そうしますと私たちの魂というものの存在がもっと明確になってくるはずです。

 

皆さまが感情的になる時、悲しみや喜びの時には胸にこみあげてくるものがあります。このこみあげてくる力は一対何でしょうか。こみあげてきて初めて涙になるはずです。これは想念の中の感情の領域がふくらんでくるからです。それで胸にこみあげてきます。それが眠っている時には、肉体舟の船頭さんである魂は皆さまの体から離れている。そのために頭は記憶が出来ない。匂いを嗅ぐこともできない。寝言は肉体に意識が伝わるために起こる現象だが、口は意識的にきけない。
このように考えてみますと私たちは魂と肉体というものが明確に分離されているということが解るはずです。

 

仏像画を見ますと後光というものが出ています。神の光は万生万物に平等に与えられておりますが想念に曇りがなくなりますと、心の調和された度合いに応じて神の光を受けていることになります。それが後光となって出て参ります。この後光が皆さまがあの世へ帰る時の肉体なのです。皆さまがあの世へ帰る時には、心がきれいならば後光によって包まれて自分の肉体がたとえ病気であっても、その時、病気から決別します。ところが心を悟らずに、神仏を信ずることなく、恨み・妬み・謗り・自己保存自我我欲の生活を送って、あちらが痛い、ここが痛いと言っている間は死んでも同じです。
なぜならば、私たちは電車に乗ったり、自転車に乗ったりしている時に急ブレーキをかけると急ブレーキのかかった進行方向に体がもって行かれるはずであります。
なぜでしょう。
これは自然の法則。等速度運動です。 これと同じように私たちもまた心というものが本当に執着と己自身の自己保存、自我我欲の心を捨て去った時には執着がありませんから、調和された世界へ抜けていきます。私はあの世へ行く時には自分の魂といいましょうか、意識が抜けていくのが全部判ります。そうしてどこの国へ行っても皆さまの家庭でもそくざに行って見ることができます。そういう時に心に引っかかりがあると、どうしてもそこだけ抜けないから苦しみます。ばたばたとして振動が起こります。
ところが心が調和されていますと、スーッと抜けていってしまいます。

 

この現象は私一人なら私は否定します。ところが今まで同じ現象が私たちの周囲にいっぱい起こりました。私一人だったら信じませんが、しかし現在は百人を越す人たちが、わずか一年間の間に心の窓を開いてアラハンの境地に到達しました。すなわちアラハンの姿に到達して己自身の心というものは調和されダイヤルがピッタリ合うようになったために、さまざまな能力を持つようになったからです。
もし十人が十人同じような現象が起こったとしたならば皆さまはこれを非科学的と言いますか。非科学的ではありません。科学的というものは100パーセント確かな結果が出たならば信じざるを得ないのであります。そうなって参りますと、私たちの心というものがいかに重要であり、そしてしかも私たちの魂はこの世を去るまでの一切をテープ・レコーダーと同じように記録しているということを理解することが出来ると思います。

 

皆さまは反省ということをご存知でしょう。反省というものは、神から私たちに与えられた慈悲なのであります。わずか10パーセントの表面意識で人生を渡ってゆくために人間はあらゆる苦しみや不調和なことをやっています。盲目で人生を歩んでいるのです。それだからまた修行場なのです。 こういうきびしい環境の中において私たちがはっきりと正しくものを見る毎日の生活行為をしてゆくならば己自身の心の状態をより高い境地にもってゆくことができるでしょう。

 

(次号に続く)

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