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高橋信次先生講演
Lecture

心の世界(1)

私たちは五官で捉え得るすべてのものが絶対だと思って生活しています。しかし、私たちの眼で見ることのできる世界は虹の七色の世界だけです。つまり、それは周波数0.00004~0.00007センチぐらいの波長の範囲だけなのです。
虹の両端の色は、紫色と赤色で、紫色の外側には紫から近い順にさらにX線、α線、γ線と続いています。また、赤色の方は赤外線、超短波、短波、長波、と続きます。このほかにも私たちの身の周りには電波と呼ばれるものが一杯満ちていますが、私たちはこの電波すら見ることができないのです。
このように私たちの周りには見えない世界の方が数多くあるのです。

 

同じ見えない世界の働きとして、人の心の働きである〝思う〟ということがあげられますが、一般にこの〝思う〟という作用は大脳によってなされると考えられています。
科学者や医学者の多くは人間の大脳がすべてのものを記憶していると考えていますが、本当に約二百億といわれる私たちの脳細胞にすべてを記憶する装置がついているのでしょうか。
もし、それが事実ならば、眠っている間、私たちの鼻の穴や耳の穴は開いていますが、その間に起こった匂いや音を感知することができないのはなぜでしょうか。大脳もこの間のことを記憶してはいないのです。
このことから言えることは、私たちの脳細胞は万能の記憶装置ではなく、五体、五官の通信や受信を司り、指令を発する器官にしか過ぎないということです。

 

また、私たちはどんなに嬉しいことや悲しいことがあっても、眠っている間は忘れています。しかし、眠りから覚めると、その喜びや悲しみは、再び私たちの心に蘇ってきます。
このように考えていきますと、私たちは五官で捉え得ない世界のことを考えざるを得なくなります。
私たちが今、存在している世界は物理学的にいうならX軸とY軸、それにZ軸という三つの方向の軸で表わされる立体空間、三次元の現象界です。
すなわち、物質界です。

 

この物質界からX軸、Y軸によって表わされる二次元の世界のことを考えてみましょう。二次元の世界とは、いうならば私たちが日常生活の中で親しく接するテレビのスクリーン上の世界のことです。そこに描かれる世界は、三次元の世界から二次元に投影されたものです。
そう考えるならば、私たちが住んでいるこの三次元の世界にも、それを包んでいる高次元の世界があるはずです。そして、その世界の投影が三次元世界の姿であるはずです。この高次元の世界に四次元の世界があります。四次元の世界はあえていうならば〝あの世〟の世界です。
この世界が本当の意味で〝実在の世界〟といえます。そして、そこは非物質的で非常に精妙な世界であり、それは慈愛に満ちた大調和の世界なのです。

 

多くの人びとはこの三次元を包んでいる四次元以降の世界の存在を否定しがちです。しかし、私たちが四次元の世界の投影である三次元の世界に存在している事実は誰にも否定することのできないことなのです。
物理の世界におけるエネルギーという仕事をなしうる能力の存在に関しても、この四次元以降の世界というものを前提にして考えたとき、初めて理解することができます。
この三次元と四次元の世界の関係は、E=mc²すなわち、物質の質量と光速の平方の積がエネルギーであるという〝特殊相対性理論〟によっても説明できます。
つまり、この式を別の言葉で言い換えるならば、エネルギー粒子の集中固体化したものが物質であるということであり、三次元と四次元の世界は表裏一体をなすものだということなのです。
しかし、私たちは物質を目にみることはできますがエネルギーを見ることはできません。
これを肉体と意識との関連についていうならば、自分の肉体を見ることはできても、肉体を支配している意識を見ることは心の調和されている人びと以外不可能だということです。

 

仏教の言葉の中に、〝色即是空〟という言葉があります。この色即是空とはあの世とこの世、三次元と四次元との関係を説いたものです。その説明としての水の変化を取り上げてみましょう。
水は化学記号で書きますと、H₂Oです。この水(H₂O)は気体(蒸気)から液体(水)、液体(水)から個体(氷)というように三つの相に変化します。
気体は水のエネルギー粒子が熱エネルギー粒子の膨張によって空間に分散される姿で、目で見ることはできません。しかし、目で見ることのできない〝空〟に離散している気体(蒸気)も熱エネルギー粒子の縮みによって、温度が低下し、再び液体(水)や固体(氷)に変るのです。
すなわち、目に見えない〝空〟の世界から、〝熱〟の縁によって〝色〟つまり目で見ることのできる物質となり、逆に〝色〟である物質から〝空〟にも変化するといえます。
このように色即是空、空即是色とは自然の法則であり、神理なのです。
この現象界(=三次元)における森羅万象はすべて輪廻しています。
季節は、春、夏、秋、冬と巡り、今日も明日も太陽は朝には東より昇り、夕になれば西に沈みます。その循環は一年を通して、変ることはありません。

 

(次号につづく)

 

(昭和49年4月、大阪での講演の要旨をまとめたものです)

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