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高橋信次先生講演
Lecture

心の世界(2)

(前号より)

 

さらに私たち自身の肉体の働きも同じです。心臓を中心にして、血液は体中を循環しております。心臓から動脈へそして毛細血管へと送られ、最後に静脈を経て心臓へ戻ります。私たちの身体の中ではこのように血液の循環を通して新陳代謝が行われているのです。
私たち自身も、これと同じように実在界(空)から、両親の縁によってこの現象界(色)に肉体舟を与えられ、厳しい人生航路を修行し、やがてまた肉体舟と光子体を結んでいた霊子線が切れて(死)、実在界(空)の世界に帰っていくのです。

 

私たちは、肉体舟に入り、この地上界に出ると、一度すべてのことを忘れてしまいます。しかし、しばらくすると親が教えなくとも自然にお母さんの乳房を吸うようになり、次に目が見えるようになります。この頃から本能というものが芽生えてくるのです。やがて、自我が芽生え、欲望を造り出し、教育や環境、思想、習慣などによって、子どもの心は次第に歪みを造っていくのです。そして、それは苦しみの原因となっていきます。
こうして、私たちは自らが選んだその環境や教育、思想、習慣の中で徐々に自分をつくっていくのです。こうして、私たちの今生における人生の勉強が始まるのです。

 

私たちの心の中には、本能、智性、感情、理性、意思があり、その中心に想念というものがあります。心の構造は、ちょうど風船玉のようになっており、不自然な思想によって自由を失い、自ら小さな枠の中に入って、変形されている人びとも多いのです。また、逆に自由自在で宇宙をのみこむような広い心の人もいます。それは、各人の心の在り方と行為によって変ってくるのです。 私たちが嬉しいとき、悲しいとき、胸にこみ上げてくるものは、私たちの心の中の感情の領域がひとつのひずみを起こすことが原因なのです。このひずみが涙になったり、怒りになったりして出てくるのです。

 

私たちは長い間の人生体験の中から、心にたくさんのスモッグを生み、自我我欲、恨み、妬み、そしり、自分さえよければ良いという自己保存、そういう心を大量につくっています。それを取り除くには、まず反省が必要です。そして、思うこと、行うことをきちんと私たちが正していったならば、心の中の曇りはそれによって晴らされていきます。
このように、自分の感情や智性や理性、本能というものが、きちんと丸く豊かであるかを自分自身がしっかりと見るその基準が八正道なのです。私たちの心の中のスモッグも私たち自らが取り除かないかぎり、調和された豊かな心はできないのです。私たちの心から、そのスモッグを取り除いたとき、私たちの心は初めて偉大なる神の光明に満たされ、己自身の偉大な神性を発見することができるのです。
物質というものに対し、足ることを知り、心を大切に毎日の生活に精進している人は、心はそのまま天上の世界に通じるのです。私たちの思うこと、念ずることは無限に広いのです。一念三千とは、その思うことが即地獄にも極楽にも通じてゆくということです。

 

私たちは、地獄界と天上界の真中に今、生きているのです。この地上界は、善と悪がミックスされた世界なのです。この世界の中で人間は、心の面が次第に調和されてくれば、天上の世界、光明のユートピアが具現されてゆきます。そのとき、人びとの心の振動はゆるやかで精妙な波動になってゆきます。
逆に、心がいつもいらいらして、調和されないでいると、心の調和度という丸みがなくなりますから、次第に心が不調和になり、地獄の世界に通じてしまいます。このように心の世界というものは、精妙であり、私たちの心の動きは、即座に現象化されてゆくものなのです。

 

私たちの心をあの月に譬えて考えてみましょう。水面に映っている丸い月を想像してみて下さい。波が静かな時、月はそのままきれいに水面にその姿を映します。ところがこの波が大きくなるに従って水面に映った月の姿は崩れてゆきます。
私たちの心も同じように、怒りや妬みや恨みによって、心の曇りが大きくなると、正しくものを見たり、聞いたり、思ったりすることができなくなってしまうのです。私たち自身の心が正しく調和されて初めて、私たちは正しく物事が判断できるのです。

 

このように種々な自然の姿は私たちに正しい心のあり方を教えてくれているのです。
私たちは、永遠の生命なのです。四次元以降の世界から、永遠の転生輪廻を繰り返してこの地上界に生まれ出ます。しかし、物質だけにとらわれ、心の存在を無視し、物事の判断をなす生活をしている人たちは、物質界を去っても、偽りの我の世界に落ち込んで、自分自身が苦しむことになるのです。
つまり人類は、すでに闘争と破壊をすべて卒業してきた万物の霊長なのです。それにもかかわらず、私たちは長い歴史の中に作り出された環境、教育、思想、習慣の中に本当の道を失ってしまい、自ら苦しみを生み出しているのです。

 

私たちは、この地上界で体験するさまざまな諸現象を通して知識を得、その知識を実践に生かしていくことによって知恵を生むのです。そして、それによって自分自身の心を豊かにし、丸い心になっていくことが、私たちの人生の目的なのです。
同時に、神の体の細胞の一つであるこの地球に、万物の霊長である人類が、心と行為の調和された環境であるユートピアを作ることが人間に与えられている神の子としての使命なのです。

 

(終わり)

 

(昭和49年4月、大阪での講演の要旨をまとめたものです)

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